アイリンク国際特許商標事務所による、芸名の決め方講座です。今回は売れる芸名の決め方についてお話します。
芸名とは、芸能人が芸能活動をする上で本名の他に持つ名前のこと。芸名を決める際には、意識すべきポイントがあります。
芸名の決め方一つで、その芸能人が売れるかどうかが左右されるほか、芸名の決め方によりトラブルを招くケースも少なくありません。
今回は、売れる芸名の決め方についてです。
- 芸名の決め方の成功例
- 芸名の決め方の失敗例
- 芸名を決める際の注意点
- 売れる芸名の共通点
- 売れる芸名の決め方5ステップ
以上の内容で、詳しくわかりやすく芸名の決め方について解説していきます。今後芸名を決める予定のある方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
芸名の決め方を工夫して生まれたネーミング成功事例5選
成功例から学べることはとても多いです。
まずは実際に売れている芸能人の芸名を5つ挙げ、それぞれ「売れた理由」や「芸名の決め方においてのポイント」について探っていきましょう。
芸名の決め方の何が良かったのか、じっくり考えながら読んでみてくださいね。
1.ケンドーコバヤシ
出典:オリコンニュース
ケンコバの愛称で親しまれるケンドーコバヤシさん。名前の由来は本人が大ファンだったと公言するプロレスラー「ケンドー・ナガサキ」さん。アメリカ各地をヒールとして活躍したケンドー・ナガサキさんに憧れていたため、そこから芸名を考えたのだとか。
実際ケンドーコバヤシさんのことをそのまま呼ぶ人は少なく、ほぼ誰もが「ケンコバ」と呼んでいますね。略しやすいネーミングだったのも、売れた理由だと言えます。
2.マツコ・デラックス
出典:マツコデラックス公式HP
毒舌なのに不思議と愛されるマツコ・デラックスさん。本名が松井貴博であるため、友人からは「マツコ」というニックネームで呼ばれていたそう。
芸名にもマツコをそのまま使用することも考えたが、「あまりにもシンプルだからデラックスにした」とのこと。確かに「マツコ」だとインパクトに欠けますが、マツコ・デラックスとなるとかなり印象に残ります。
名前の由来はとても単純ですが、本人のキャラクターと芸名がものすごくマッチしていて、一度耳にしたら忘れられない、そんなネーミングになりました。
3.椎名林檎
椎名林檎さんの本名は椎名裕美子。名字は本名のまま下の名前を「林檎」と変えて芸名にしています。
林檎という名前は、もともと極度の恥ずかしがり屋だった椎名林檎さんが、人前に出るたびに頬をりんごのように赤らめていたことに由来しています。
また、一説によるとビートルズのドラマー「リンゴ・スター」に由来しているとも言われています。
椎名林檎。この芸名は漢字で書いた際の字面の美しさも大きな魅力。口にすると「りんご」の音が入るため可愛らしくもなりますが、りんごを「林檎」と漢字で表現することで、かっこよさもうまく表現していますね。
4.明石家さんま
出典:東洋経済オンライン
日本を代表する芸能人の一人、明石家さんまさん。明石家さんまさんがもともと「笑福亭さんま」の名前で落語家として芸能生活をスタートしていたことは案外知られていないかもしれません。
インパクトのある「さんま」ですが、これは明石家さんまさんの実家が、さんまの水産加工業を営んでいたことに由来しています。
きっと「さんま」という名前が覚えやすく印象に残りやすいかったのも、明石家さんまさんがこれほどまでに売れた理由の一つなのかもしれませんね。
後に笑福亭の名を「明石家」に変えていますが、この明石という名前は師匠でもある笑福亭松之助さんの本名です。
明石家さんまさん。「さんま」の愛称で親しまれ、子供から大人まで多くの人に愛されるお茶の間の人気者ですね。
5.ユースケ・サンタマリア
ユースケ・サンタマリアさんは実はもともとバンドマン。ユースケ・サンタマリアという芸名はバンド時代からのものです。
ユースケは本名の裕介をそのままカタカナに。肝心の「サンタマリア」ですが、こちらは当時のバンドがラテンバンドだったことから、何かラテン系の言葉をということで選んだそう。
ユースケ・サンタマリアさん自身は、この芸名を「あまり気に入っていないし、字数が多くて迷惑しかかけない」とやや自虐気味に語っていますが、結局のところ売れたという意味では成功と言えるネーミングです。
芸名の決め方で失敗した2つの事例
芸名を安易に決めてしまうと、後で「やっぱりイマイチだから改名しなきゃ」となってしまうケースも多々あります。
また、芸名によって想定外のトラブルを招いてしまうケースもあります。
というわけで、ここでは芸名の決め方で失敗したケースを2つ紹介していきます。
1.ラフレクラン
出典:吉本興業公式
英語のラフ(笑い)とフランス語のレクラン(宝箱)を組み合わせて命名された芸名「ラフレクラン」。
きちんと笑いに対する熱い思いを込めて付けたネーミングでありながら、これが定着せず改名することになった残念な例です。
失敗の主な理由は、「覚えづらい」ということ。何度聞いても印象に残りにくく、「なんだったっけ?」となってしまうネーミングで、芸能人としてはこれが致命的だったわけです。
現在はラフレクラン改め、「コットン」に改名し気持ち新たに走り出したお笑いコンビ。確かにコットンなら一度聞いただけでも覚えやすく、忘れにくいですね。
2.のん(能年玲奈)
出典:のん公式LINEブログ
能年玲奈さんは2016年に芸名を「のん」に改名しています。それからというものあまり活躍の場を目にする機会もなく、一部では「干されている」などとも言われています。
「能年玲奈」は実は本名!とても珍しい名前ですが、「れな」という美しく華やかな響きが、正統派美人の彼女にはぴったりですね。
能年玲奈さんが「のん」に改名した経緯は事務所とのトラブル。以前所属していた事務所を去る際に、能年玲奈の名前で今後芸能活動をしないように言われたことにより、改名を余儀なくされています。
のんという芸名はいまだに定着せず、改名から5年経った今でも「能年玲奈」で認知されている現状がありますが、これは「能年玲奈」の名があまりにも浸透してしまったという理由だけではありません。
「のん」では、検索してもヒットしづらく、他の言葉(お店の名前や全く違う人の名前など)がずらりと出てきます。これではなかなか芸能人「のん」さんの情報に行き着くはずもありません。
このように、芸名の決め方一つが知名度にかなり影響してしまうため、やはり芸名を決める際には慎重になる必要があります。
芸名を決める前に必ず確認したいたった1つのこと
芸名を決めるにあたって必ず覚えておいていただきたいたった一つのこと、それは「その芸名がすでに商標されているものでないか」を確認することです。
そして商標登録されていないことを確認した上で、あなたがその芸名を商標登録しておくことも忘れずに。
芸名はこれから先あなたの代名詞となり看板となる重要な名前。これが万が一、他の誰かに悪用されたり、何かの商品名として盗用されたりしたらとんでもありません。
そのようなトラブルを未然に防ぐためには、芸名を商標登録することです。
商標として登録されれば、あなたの芸名は法律によって守られます。仮に他の人や企業に使われようものなら、あなたは商標権が侵害されたと訴えることもできるのです。
大切な芸名は法律の力を駆使して守り抜きましょう。
商標登録についてわからないことや、必要な手順などについてはこちらのリンクからご相談ください。
売れる芸名の決め方には3つの共通点がある
売れている芸名を記事の前半で紹介しましたが、これらには共通点があることにお気づきでしょうか。
芸名をこれから決める予定のある方は、現に売れている芸名の決め方を参考にしていきたいところ。というわけで、ここでは売れる芸名の決め方の共通点について解説します。
1.芸名は4文字以内
売れている芸名は、
- 芸名自体が4文字以内
- 芸名の愛称が4文字以内
のどちらかに該当していることが非常に多いです。
ユースケ・サンタマリアさんは「ユースケ」と呼ばれることが多いですし、ケンドーコバヤシさんは「ケンコバ」と呼ばれることがほとんど。もちろん、全てが該当するとは言えませんが、多いのは確かです。
4文字以内で呼べる言葉はとても短く覚えやすいため、知名度が上がりやすくなります。
例外としては、「マツコデラックス」などのように、極端にネーミングにインパクトがあり、長くても印象に残りやすい芸名。これなら長くても結局人の心に残ります。
2.略しやすい
芸能人の名前の中には、芸名を略した相性が定着しているケースもかなり多くみられます。特に売れている芸能人ほどこの傾向が強く現れるのが特徴。
ここでさらに例を挙げてみると、
- 木村拓哉→キムタク
- オリエンタルラジオ→オリラジ
- 小島瑠璃子→こじるり
- 松平健→マツケン
- 小嶋陽菜→こじはる
- 遠藤久美子→えんくみ
もはや、略しやすさは売れやすさと関係しているとしか言えないほどに、売れている芸名には略せるものが多いです。
芸名を決める際には、その名前が省略しやすい名前であるかどうかも考えてみると良いです。
3.インパクトとオリジナリティがある
売れている芸名の中には、本名のようなものもありますが、やはり芸名自体にインパクトやオリジナリティのあるものも多く存在します。
マツコ・デラックスやユースケ・サンタマリアなんて、インパクトの塊とも言えるほど変わった名前ですし、一度見たら脳裏に焼きついてしまうほど。
一度聞いただけで「うわ、なんだこれ!」と思うようなインパクトを与える変わった名前はやはり、ネーミングとしてアリですし、他に似た言葉も存在しないため間違いが起こりにくくなるのもメリットです。
売れる芸名の決め方5つのステップ
ここまでの内容を踏まえて、これから芸名の決め方について解説していきます。
ここでは、売れる芸名の決め方を以下の5つのステップに分けて紹介していきます。
- どのような芸能人として売り出したいか理解する
- 候補のキーワードを複数挙げる
- キーワードの組み合わせで芸名の候補を考える
- 商標登録がないか確認する
- ネット上でバズるか検証する
それでは、ひとつずつ見ていきましょう!
1.売り出したいイメージを明確にする
芸能人と言っても様々な人がいますが、俳優や芸人、職業によっても売り出したいイメージは異なるでしょう。
芸名を決めるにあたり、まずは自分自身がどのようなイメージで売り出していきたいのかを明確にすることが大事です。
以下は、売りたいイメージを明確にする上で欠かせない要素を表にしたもの。これら全てが明確になれば、芸名を決める際に取り入れたいキーワードが選びやすくなります。
▼売り込むイメージを知る上で欠かせない要素
要素 | 明確にすべき事項 |
1.職種 | 何に特化した芸能人なのか(ミュージシャン・芸人・モデルなど) |
2.最大の売りポイント | 何を売りにしたいのか(美しさ・面白さ・親しみやすさなど) |
3.特徴 | 同業の他の芸能人との違いは何か |
4.場面 | どのような場面で活躍するのか |
5.ファン層 | 狙うファン層(年齢層・性別) |
上記を明確にすることで今後目指していきたいビジョンが明確になり、芸名を決める上で重視すべき点が見えてきます。
2.候補となるキーワードを挙げる
芸名を決める際には、本名の一部を残すなど、軸にしたいキーワードがある場合が多いです。そこに加えて、さらに付け足していきたいキーワードの候補を挙げていきましょう。
キーワードを探すときには、自分自身の頭の中で思いつくものだけでは不十分なケースが多いため、以下の方法も積極的に活用してみてくださいね。
- キーワードを外国語で検索してみる
- 共起語検索ツールを活用する
3.キーワードから芸名を考える
キーワードを集めたら、ここからは以下の方法を参考に、芸名の候補を作ります。
- キーワードとキーワードを組み合わせる
- キーワードを略す
- キーワードを逆読みする
- クラウドソーシングを利用する
キーワードを単に羅列するだけではなかなか芸名らしくなりません。
キーワードを略したり、複数キーワードを組み合わせ、その頭文字から新たな造語を考えたりしながらアイデアを絞り出していきましょう。
4.すでに商標登録がないか確認
芸名の候補が絞り込めたら、その芸名がすでに他の人や企業に使われていないことを事前に確認しましょう。
特許情報プラットフォームで検索すれば、同じ名前や似た名前がないかを調べることができるので、芸名を決定する前に必ずチェックしておきます。
ちなみに、芸名が決定したら商標登録をすることもお忘れなく。今後要らぬトラブルを招くことがないよう、商標登録をすることであなたの芸名を守ることができます。
5.ネット上でバズるか検証しておく
芸能人としてデビューし、そこから知名度を上げていくために欠かせないのが「芸名が拡散される」こと。
人から人へ情報をいち早くパワフルに拡散する力があるのは、今の時代やはりインターネットでしょう。
テレビや雑誌の力ももちろん強力ですが、まずはインターネット上で拡散されやすいかどうかが大きな鍵となります。
バズりやすい芸名の特徴は以下の通り。
- 言いやすい
- 覚えやすい
- インパクトがある
- 個性がある
- ハッシュタグにしやすい
- 似た名前が他にない
どれだけ素敵な名前でも、検索したときに検索結果で表示されにくい芸名ならネット上でバズることはまずありません。他に似た名前や紛らわしい言葉がないかを確認しておくことはとても重要ですね。
あとはとにかく「人が簡単に拡散できる覚えやすい芸名」であることが大切。
誰もが日常的に使用しているインターネット上でバズらせることができれば、あなたの芸名は瞬く間に知名度を上げていきます。
今回は、売れる芸名の決め方について解説しました。
芸名の決め方ひとつで、成功と失敗が決まってしまうというと大袈裟なように感じるかもしれませんが、これは事実です。
芸名で失敗し、干されてしまった芸能人も実在しますし、逆に芸名をうまく決めたことで一気に売れた芸能人もいます。
これからのあなたの新しい名前となる芸名です。思いを込めて慎重に決めていきたいものですね!
決定した芸名は忘れずに商標登録をすませ、他人から悪用されることのないようにしておきましょう。
ネーミングや名前に関するお悩みがありましたら、私共、「断らない商標事務所アイリンク」にお気軽にお問合せください。