アイリンク国際特許商標事務所による、サービス名の決め方講座です。今回はサービス名の由来や人気の秘密について考察します。
サービス名を決めるときにはどうしても悩んでしまいがちです。しかし、サービス名をどう決めるかによって、そのサービスの売れ行きは確実に左右されます。
慎重に決めなければならないサービス名ですが、決める際にはきちんと由来のあるネーミングをチョイスする必要があります。
今回の記事では、サービス名の決め方が分からずお悩みの方に向けて、
- サービス名に由来が必要なのはなぜか
- ストーリー性のあるサービス名の例
- 戦略的に決められたサービス名の例
以上の内容に分けて解説していきます。これから自社のサービスを新たに打ち出そうとしている方必見の内容です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
サービス名に由来がないものは人気が出ない理由
サービス名には由来があるものですが、中には特に由来のない「思いつきで決めた」サービス名も存在します。
ですが、サービス名に由来がないと人気はなかなかでないもの。これは、「由来のないサービス名には愛着が湧かないから」です。
愛着がわかないだけで人気が出なくなるのかと不思議に感じる方もいるかもしれません。しかし、由来のないサービス名では、
- そもそも開発者側に熱意があまりない
- 想いの弱いサービスは魅力もそこそこどまりになる
ということ。開発する側がストーリー性を持たせてサービス名を考えれば、そのサービス名には強い想いが込められているはず。想いが伝わらなければ人の購買意欲はなかなか上がりません。
ストーリー性のあるサービス名の由来10選
ストーリー性を持たせたサービス名と聞いてもいまいちピンとこない‥。という方のために、ここで10つのサービス名を挙げながら、それぞれの由来について解説していきます。
普段から聞き慣れているサービス名がほとんどかと思いますが、それらのサービスがなぜここまでの人気を集めたのか、その理由をあらためて知る機会ですよ!
1.メルカリ
引用:メルカリ公式ホームページ
メルカリの名前は実はラテン語が元になっています。mercariとはマーケットの語源であり、ラテン語で「商いする」という意味です。
「個人間で、あんしん・あんぜんに取引を行えるマーケットにしていきたい」という思いが込められているメルカリ。口にしやすい4文字の短めのネーミングでかつ、しっかりと強い意味が込められています。
2.Uber(ウーバー)
引用:ウーバー公式ホームページ
Uberという言葉は、ドイツ語の「Über」から来ています。その意味は、「〜の上」、「〜よりもさらに優れている」など。ちなみにUberは英語のスラングでもあり、その意味は「超」、「すごい」などです。
これまでにない、既存のどのサービスよりも優れたサービス、まさに人が「すごい!」と声を上げてしまいそうな素晴らしいサービスを作りたい、という創始者の思いが伝わるネーミングです。
3.RIZAP(ライザップ)
ライザップは「RISE」(立ち上がるなどの意味)と「UP」という言葉を掛け合わせた造語です。
ライザップといえば、結果にコミットというキャッチフレーズでお馴染みですね。まさに「どんな人でも必ず結果を出せるように導く」という意味では、立ち上がるという意味を持つ造語ライザップは完璧なネーミングと言えます。
4.Instagram(インスタグラム)
今やSNSの中でも最も利用頻度が高いサービスはInstagramなのではないかと思うほど、高い人気を集めています。
Instagramは、インスタントヌードル、などのインスタントと同じで「すぐに」という意味を表す「Instant」、そこに「電報」を意味する「Teregram」を掛け合わせた造語です。
人々にとって、「すぐに発信できる便利で使いやすいツール」となったInstagramは、まさにその名前通りのサービスです。
5.Evernote(エバーノート)
オンラインでメモや文書を保存し、パソコンやスマートフォンなどのデバイスからアクセスし、簡単に閲覧・編集できるサービス、Evernote。
Evernoteは「Ever」と「note」を掛け合わせた造語。Everは「永久に」などの意味を持つ英語です。「人々が大切な文書を永久に無くすことなく保存し、いつでも便利に使えるサービス」であるEvernoteにマッチしたネーミングですね。
6.楽天
引用:楽天公式ホームページ
楽天グループのサービスには、楽天トラベルや楽天市場、楽天銀行などさまざまなものがあります。
この、楽天という言葉の語源は「楽市楽座」。楽市楽座とは、戦国時代から室町時代にかけて行われていた政策のことで、「自由な商売」を広めるためのもの。
「人々が自由に物を売り買いできる基盤となるサービス」である楽天にふさわしいネーミング。さらには「ん」の音で終わることで、言いやすく記憶に残りやすいサービス名となっています。
7.PROGRIT(プログリット)
プログリットは英会話の学習サポートサービス。本気で英語をマスターしたい人を対象としており、人気を集めています。
プログリットという名前の中にある「GRIT」とは、「やり抜く力」を意味する英語。ここに「前に進む」という意味を持つ「PRO」を付け足してプログリットという造語をサービス名としています。
全てのお客様にやり抜く力をつけてもらい前進してもらいたい。その想いがプログリットの由来です。とても勢いのあるネーミングですね。
8.hulu(フールー)
引用:hulu公式ホームページ
huluの由来は中でもとても興味深いです。実はhuluは中国語で「ひょうたん」もしくは「相互記録」の意味。相互記録とは、相互的に記録するという意味です。
ひょうたんは中国で昔から、大切な物を閉まっておく容器として使われていたそう。そのことから、「大事なコンテンツをしっかり保管しておき、好きなように人々が見て楽しめるサービス」を意味するhuluが生まれたのです。
huluがアルファベット表記なのもあり、中国語が語源になっているとは驚きですが、とても意味のあるネーミングですね。
9.YouTube(ユーチューブ)
1日に1度もYouTubeを見ない人はもしかすると少ないのかもしれません。それほどまでに高い人気を集めるYouTube。
Youtubeというネーミングは、「You(あなた)」と「Tube(ブラウン管)」という2つの言葉を組み合わせて作られた造語です。
あなたの作るテレビ、という意味を持つYouTube。その名の通り、個人がチャンネルを作成して好きなように手軽に配信できるサービスです。
「好きなように番組を作って、あなたの番組を世に発信して楽しんでね」という意味をしっかり込めて作られたYouTubeは、世界中で知らない人がいないほどメジャーなサービスに成長しました。
10.NEXT WEEKEND(ネクストウィークエンド)
「季節の楽しみと小さな工夫で、理想の生活を叶える」をコンセプトに掲げるコミュニティメディア、NEXT WEEKEND。
街歩きや、お料理など、「いつかやってみたいかも」と思うような内容が満載のメディアですが、NEXT WEEKENDの想いとしては「いつかじゃなくて次の週末にやろう!」というもの。
人は気づかないうちにあれこれと制限をかけてしまうものですが、その気になればすぐにでも始められることは山ほどあります。
そんな人々の背中を押してあげたいという気持ちがしっかりと込められた、わかりやすくて素敵なネーミングですね。
戦略的に決められたサービス名の由来10選
サービス名の中には、戦略的に決められたネーミングもあります。ここで言う戦略的とは、
- ネット検索されやすいサービス名
- SNSで拡散されやすいサービス名
などのこと。
人気のあるサービス名はどれもこれらを意識して決められているものです。検索されやすい、拡散されやすいという意味では、サービス名は短くかつハッシュタグにできない記号などを含まない名前である必要があります。
それでいて、きちんと由来もあるネーミングであるとなると、なんだか決めるのが難しそうなイメージですね。
ここでは実際に、戦略的に決められた10個のサービス名を挙げつつ、その由来と合わせて解説していきます。
1.au(エーユー)
引用:au公式ホームページ
大手携帯電話会社のau。このサービス名はとても短く、シンプルなのが特徴です。
名前の由来は、「会う」に始まり「合う」に行き着くということ。携帯を介して人やものとの出会いがあり、さらにその出会いを通じてそれぞれの価値が集い合うという世界の実現を目指して作られたサービスがauなのです。
auの2文字に、ここまで深い意味が込められているのですから驚きですね。
2.SUUMO(スーモ)
「Support Useful & Unique for Most One」の頭文字を取ったサービス名、SUUMO。この名前には、「便利で独自性があり、最高の住まいを探すことができるサービスを作りたい」という想いが込められています。
スーモという言葉の響き自体が「住もう」に近いのもあり、サービス内容ともしっかりマッチしていますね。
3.Twitter(ツイッター)
Tweetとは、鳥のさえずりのことを指します。Twitterは、まさに人々が自由に思うがまま呟くことができる場所として、世界中で多くの人に愛されているSNSサービスのひとつ。
ツイッターという音の響きもとても警戒で、口にしやすく耳に残りやすいのも特徴ですね。Twitterといえば、その最大の特徴は「短い文章を投稿する」という点。小鳥のさえずりであるTweetは、まさにその短文投稿を意味しています。
4.クラシル
引用:クラシル公式ホームページ
暮らしを知るという意味を込めて作られたサービス、クラシル。人気のサービス名は3文字もしくは4文字のものが非常に多いのですが、こちらもやはり4文字。
お料理や美容をはじめさまざまな情報を取り扱うキュレーションサービスのクラシル。まさに「暮らしを知る」ために欠かせないサービスとして確固たる地位を築いています。
5.食べログ
引用:食べログ公式ホームページ
食べ物のログを残すことができる、さらにそのログから他の人々が新たな情報を得ることができる、という食べログ。
こちらは日本語の「食べる」をほぼそのまま使用しているため、食べ物に関わるサービスであることが一目瞭然なのも特徴。サービス名の中には、一見してサービス内容が予測できないものもたくさんありますが、食べログはそうではありません。
この分かりやすいネーミングが功を奏し、今では幅広い年代の方が、外食の際に一番に参考にするサービスにまで成長しています。
6.じゃらん
引用:じゃらん公式ホームページ
改めて考えてみると、じゃらんというネーミングは少し不思議にさえ感じます。それもそのはず、じゃらんの由来はインドネシア語の「Jalan」。意味は「道」です。
さらにこのインドネシア語のJalanは、2回続けて「jalan-jalan」と言えば、その意味が「散歩する」、「旅行する」となるのです。
じゃらん、という言葉自体もリズミカルで楽しいイメージ。さらにはひらがなにすることで雰囲気も柔らかい印象。愛されるサービス名なのも頷けますね。
7.PayPay
PayPayという名前の由来は、「決済市場での最もスタンダードな地位を築く」という孫社長の熱い想いです。
決済する、つまり支払うという意味の「Pay」にとことんこだわり、サービス名をPayPayにしたそう。ものすごくシンプルな意味合いですが、分かりやすくとにかく覚えやすいのが特徴です。
孫社長の目指す通り、PayPayは決済市場においてもっとも一般的に広く使われているサービスに成長しました。
8.Suica
Suicaは今から20年ほど前にスタートした、非接触型ICカードの先駆けです。Suicaという名前の由来は、「Super Urban Intelligent Card」の略。訳すと、ものすごく現代的で賢いカード、というような意味になります。
また、「スイスイ改札を通り抜けられる」という意味も込められているとか。そもそもSuicaという名前は果物のスイカをイメージさせるものあり、とても愛着の湧く響き。Suicaは今でも多くの人々に日々利用されているサービスです。
9.PayPal(ペイパル)
paying your pal=「友達に支払う」というのがペイパルの由来です。ペイパルはアメリカで生まれたサービスですが、今では世界中たくさんの国々で使われている決済サービスとして、知らない人はいないほどに成長しました。
サービス名に「Pay」が入ることで、サービスの内容が「支払いに関わるもの」であることは一目瞭然。PayPay同様、一度聞くだけでそのサービス内容が予測できて、さらに耳に残りやすいネーミングです。
10.Pinterest(ピンタレスト)
おしゃれな画像をたくさん見つけることができるSNSサービスの一種Pinterest。この名前は、「気に入った画像にPinを打ち、コレクションにすることができる」というPinterestのコンセプトにぴったりです。
日本では、InstagramやTwitterほどの知名度はありませんが、それでもおしゃれな画像に目がない方や、クリエイティブ関連の仕事をされている方にとっては必須のサービス。
Pinterestのロゴマークには「ピン」をかたどった「P」の文字。これもコンセプトにしっっかりマッチしていて印象に残りやすいですね。
いかがでしたか?
今回は、サービス名の由来について紹介しました。どのサービス名も由来が明確で、とても興味深かったですね。
サービス名を決める際には、サービスのコンセプトを決め、そこに込める想いにマッチした意味のあるネーミングを選ぶことが大切です。
開発する側が熱意を持って決めたサービス名でなければ、人々の心に刺さることはありません。これからサービス名を決める段階にある方は、ここで紹介した20個のサービス名をぜひ参考にしてみましょう。
サービス名を決める際には、商標登録も必須となります。こちらも忘れずに確実に済ませておいてくださいね。
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