アイリンク国際特許商標事務所による、サービス名の決め方講座です。今回はサービス名を徹底分析します。
サービス名の決め方にはいろいろな方法がありますが、大切なのはそのサービス名が「バズるサービス名になる」こと。
愛されるサービス名、世の人に覚えてもらえるサービス名でなければ、きっとそのサービス名はいつまで経っても知名度が上がり定着することはありません。
今回は、サービス名の決め方について解説します。この記事を読むことで、
- サービス名の決め方の成功例
- サービス名の決め方の失敗例
- バズるサービス名の共通点
- バズるサービス名の決め方
について理解することができます。これから新しいサービスを世に売り出していこうとされている方にぜひ読んでいただきたい内容です。
サービス名の決め方で上手くいった成功事例2選
誰しもが知っているサービス名はたくさんありますが、それらはサービス内容が良かったから人気を集めたのでしょうか。もちろんそれもひとつの理由です。ですが、サービス名はサービス内容と同じくらい重要。
サービス名で成功していれば、その時点ですでにサービス自体が売れる、成功する可能性をぐんとUPさせられるのです。
ここでは、サービス名の決め方で成功したとされる例を2つ挙げて、それぞれについて詳しく解説していきます。
1.メルカリ
引用:メルカリ公式ホームページ
メルカリは、個人間で簡単に物品の売り買いができるサービス。メルカリと言う名前、改めて聞くとなんだかよく意味が分からないネーミングですよね。
ですが、そこにはきちんと意味が込められています。サービス名のmercariとはマーケットの語源であり、ラテン語で「商いする」という意味。まさにそのままストレートにサービス内容と合致するネーミングだったのです。
2.Instagram(インスタグラム)
通称インスタとして、多くの人々に愛されているInstagram。このネーミングは、英単語2つをかけあわせた造語です。
「すぐに」という意味を表す「Instant」、そこに「電報」を意味する「Teregram」を掛け合わせたInstagramというサービス名。「すぐに発信ができるツール」であるInstagramのサービス内容にしっかりマッチしています。
サービス名の決め方で失敗したパターン2選
ここでは逆に、サービス名の決め方で失敗した実例を2つ挙げて解説していきます。それぞれのサービス名がなぜよくなかったのか、何が原因でバズらなかったのか、しっかり考えながら読んでみてくださいね。
1.SAKELIFE(サケライフ)
とあるベンチャー企業が提供していた日本酒の定期購入型ECサービス「SAKELIFE」。
SAKELIFEは、厳選されたこだわりの日本酒の月毎にお届けし、さらに隔月で酒器や酒の肴、酒の楽しみ方を伝えるメルマガを届ける日本酒の定期購入サービスでした。
今は残念ながら打ち切りとなってしまったこのサービスですが、ネーミングにも問題がなかったとは思えません。ネーミングにおける問題としては大きく以下の2点が挙げられます。
- 検索結果に表示されにくい
- インパクトに欠けるため覚えにくい
SAKELIFEと検索しても、「酒ライフ」の検索結果が表示され、多くのお酒好きの人によるブログなど、他のサイトに誘導されてしまうこと、さらには名前自体がやや平凡で逆に覚えにくいという点がデメリット。
英語表示にすることでややおしゃれな印象ではありますが、いまいちピンとこない、印象に残りづらい名前であることは確かです。
2.SECRET(シークレット)
こちらは、アメリカ生まれのSNSサービス。ほぼ完全に匿名のまま交流できるソーシャルサービスとして日本にも上陸したのですが、こちらもその後人気が定着せずサービスを停止しています。
シークレットという名前もまた、非常に検索結果に表示されにくく、さらには言葉の意味が広すぎるため、SNSサービスとして認知されにくかったと考えられます。
サービス名の成功事例と比較すると、
- オリジナリティに欠ける
- 検索時に他の検索結果を大量に表示してしまう
という点が明らかな違い。人知れずこっそりとやりとりのできるSNSだからこそシークレットと名付けられていますが、あと一捻りあれば印象も変わっていたかも知れません。
バズるサービス名の決め方に共通する3つのポイント
バズるサービス名とバズらないサービス名、両者には明確な違いがあることがわかりましたね。ここで、バズるサービス名の決め方に共通する3つのポイントについて解説していきます。
1.口にしやすい(短い)
バズったサービス名を思い浮かべてみると、そのどれもが「言いやすい」ことに気づきます。
- インスタ
- メルカリ
- 楽天
- ヤフー
- PayPay
- Suica
- 食べログ
これらはいずれも、知名度が高い売れているサービスの名前ですが、どの名前も口にしやすいと思いませんか?
口にしやすいということは、それだけ人々の会話の中で登場しやすいということ。もちろん人々の会話の中で頻繁に登場すれば、その分サービスの存在が世に知れ渡るのも早くなります。
また、上記で挙げたネーミングをざっと見返してみると、いずれもそのサービス名が「3文字〜4文字」であることに気づきます。
Instagramは通称「インスタ」ですので、こちらも4文字としてカウントしましょう。もちろん売れているサービス名には5文字を超えるものも存在します。ですが、多くは非常に文字数が短く、シンプルで覚えやすいのが特徴です。
2.由来がネーミングに含まれている
バズるサービス名は、どの名前もきちんとその由来がサービス名に含まれていることがほとんどです。
サービス名は言葉の響きや字面を意識して決めがちですが、響きや字面だけでは消費者側に刺さりにくく、定着しづらいもの。
サービスを開発する際には、必ずそこに想いがあります。その想いを込めたネーミングであれば、開発側も愛着を感じるでしょう。そしてその想いはサービスを利用する側の消費者にも伝わるものなのです。
3.マーケティングにおいて有利
マーケティングの観点でサービス名を決める際には、そのサービスがいかにして
- 多くの人に検索されるか
- SNSで拡散されるか
という点も非常に重要です。例えば、以下のようなネーミングに決めてしまった場合について考えてみましょう。
- 既存のサービス名に似た名前のものがある
- ネーミングの途中に記号(&など)が含まれている
似た名前があれば、ネット検索時に他社のサービスが先に表示されてしまい、検索結果に表示されにくくなるリスクがあります。
ネーミングに記号が入っていれば、検索する際に入力にひと手間かかる上、SNSのハッシュタグにできないという大きなデメリットがあります。そうなれば、拡散されるチャンスを逃してしまうことが非常に多くなってしまうでしょう。
サービス名の決め方においては、これらのリスクを避け、マーケティングにおいて支障のない効果的なネーミングを選ぶ必要があります。
バズるサービス名決め方5ステップ
サービス名の決め方については、ここまでの内容で何に気をつけるべきなのかが理解いただけたかと思います。
ここからは、実際にサービス名を決める際に使える、バズるサービス名の決め方を5つのステップに分けて紹介していきます。この5ステップに沿ってサービス名を決めれば、まず大きく外すことはあり得ません。
では内容について見ていきましょう!
1.サービスのコンセプトを明確化する
サービスを新たに開発する際には、そのサービスに込められた想いやコンセプトがあるはずです。これらを曖昧にせず明確にしておくことが重要です。
▼サービスについての理解を深める5つの要素
店舗理解の要素 | リサーチすべき事項 |
1.コンセプト | サービスに込められた想い |
2.サービスの強み | サービスの最大の売りポイント |
3.特徴 | 他社サービスと比べて何が違うのか |
4.利用目的 | どのようなシチュエーションで利用されるのか |
5.客層 | ターゲットの年齢層・性別・年収 |
以上の5項目をきちんと書き出し、サービスのコンセプトを明確にします。これがサービス名を決める際の材料となる5つの要素となります。
2.候補となるキーワードを挙げる
サービスについての理解が深まったところで、サービスのコンセプトや込められた想いに関連するキーワードを挙げていきましょう。
この時のポイントとしては、
- サービスの由来に関連づけたワードを選ぶ
- 外国語でも検索して候補ワードを増やす
- 共起語検索ツールを活用する
以上の3点です。
すでにサービスについての理解を深めてから候補を上げるので、サービスの本質と深い関連のあるワードが複数候補に上がるはずです。
この時点では「サービス名としては微妙かも」などと心配する必要はあまりありません。思いつくままに羅列しておきましょう。
3.キーワードからサービス名を考える
候補となるキーワードが出揃ったら、ここからはいよいよサービス名を決めていく段階に入ります。
方法としては以下の通りとなります。
- 複数のキーワードを組み合わせる
- キーワードを略す
- キーワードを逆から読む
Instagramの例を思い出すと、その名前は instantとtelegramの組み合わせでしたね。このようにして複数のキーワードを組み合わせたり、アレンジしたりしながらサービス名を決めましょう。
もちろん、なかなか「これだ!」と思えるサービス名に出会えないこともあるはず。その場合にはクラウドソーシングを利用し、サービス名を募集してみるのも有効な手段です。
クラウドソーシングで公募をかける際には、候補として挙げたキーワードを明記し、それらをアレンジしたサービス名にすることを条件として挙げておくと良いです。
4.すでに商標登録がないか確認
サービス名が決まったら、最終決定の前に必ず「すでに商標登録されていないか」を確認しておきましょう。
候補に挙げているサービス名を特許情報プラットフォームで検索すれば、同じ名前や似た名前があるかどうかを簡単に調べることが可能です。
後々トラブルになる可能性も大いにあるため、すでに使用されているサービス名の中に似た名前がある場合には、再度検討し直す必要があります。
5.サービスの認知経路ごとにシミュレーション
これから新しく世にデビューするそのサービスが、どのようなジャンルのものかによって、認知経路は異なります。
例えば、若い世代をターゲットにしたオンラインショッピングのサービスなら、その認知経路はほとんどがインターネット上のサイトやSNSになることが予想されます。
逆に、高齢者をターゲットにした介護関連のサービスなのであれば、認知経路はテレビやチラシがほとんどでしょう。
認知経路の例は以下の通りとなります。
- チラシ
- テレビCM
- SNS
- 公式WEBサイト
これらの認知経路ごとに、どのようなサービス名がバズりやすいかは変わってきます。サービスがより早く、より広く人々に知れ渡るようにするためには、認知経路に合ったネーミングであるかを判断することが大切です。
いかがでしたか?
今回はサービス名の決め方について解説しました。成功例や失敗例から、サービス名がいかに重要かがお分かりいただけたかと思います。
素晴らしいサービスを開発しても、そのサービス名に由来や想いが込められていなかったり、紛らわしく覚えにくい名前だったりすると、そのサービス自体が世に定着しづらくなってしまいます。
サービス名を決める際には、想いを込めて、かつ分かりやすく拡散されやすいネーミングにすることが大切。慎重に決めていきたいものですね。
決定したサービス名は忘れずに商標登録をすませ、他社から悪用されることのないようにしておきましょう。
ネーミングや名前に関するお悩みがありましたら、私共、「断らない商標事務所アイリンク」にお気軽にお問合せください。